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春のしつこい肌荒れは「花粉皮膚炎」かもしれません。皮膚科専門医に相談を

注意:花粉症は目と鼻だけではありません。

花粉皮膚炎:症状・原因・治療法の完全ガイド

花粉の季節になると、くしゃみや鼻水だけでなく、肌の赤みやかゆみに悩まされる方も少なくありません。これらの皮膚症状は、実は「花粉皮膚炎」という状態かもしれません。花粉皮膚炎は、花粉抗原により引き起こされる全身性アレルギー反応の一部として皮膚に現れる症状です。2006年の調査では、花粉症患者において「皮膚がかゆい」という症状が多く報告され、特に女性や症状が重い群に多く見られることが明らかになっています。当コラムでは、花粉皮膚炎の症状や原因、診断から治療、予防法まで詳しく解説し、この春の不快な肌トラブルへの対処法をご紹介します。一般的な花粉症に関しては<こちら>

花粉皮膚炎とは

花粉皮膚炎とは、花粉が皮膚に付着することで引き起こされるアレルギー性の皮膚炎です。花粉症は症候群であり、花粉抗原により全身のアレルギー反応が出現します。症状の主体はアレルギー性鼻炎・結膜炎ですが、気道、皮膚、全身症状なども出現することがあります。日本では特に2月から4月にかけて飛散するスギ花粉による「スギ花粉皮膚炎」が多く見られますが、ヒノキ、ブタクサ、ヨモギなど他の植物の花粉によっても同様の症状が引き起こされることがあります。花粉皮膚炎は、花粉が皮膚に直接接触することが原因と考えられるもので、花粉症の鼻や眼の症状に先行して生じることもあり、花粉が原因だと気づかないこともあります。

花粉皮膚炎の症状

花粉皮膚炎の主な症状は、肌の乾燥、ほのかな赤み、チリチリとくすぐったいようなかゆみです。ジクジクしたような重い症状はなく、上まぶた、頬骨、あご、首など露出が多い部分に発症しやすいのが特徴です。症状は肌の乾燥やかゆみから始まり、湿疹、カサつき、ときにはヒリヒリした痛みを伴うこともあります。赤みのある部分が盛り上がって発疹のようになることもありますが、湿疹のようにジクジクするような状態にはならず、どちらかというと乾燥気味になるのが花粉皮膚炎の特徴です。また、花粉皮膚炎は顔や目の周りにできやすいこともあり、アレルギー性結膜炎や眼瞼炎を伴うことも少なくありません。女性の場合は花粉症の時期になると基礎化粧品がしみるようになるといった症状を感じることもあります。

花粉皮膚炎の原因と発症メカニズム

花粉皮膚炎の主な原因は、飛散している花粉が皮膚に直接付着することです。特に肌のバリア機能が低下している状態では、花粉が皮膚に対して強い刺激となります。資生堂の研究によると、スギ花粉に含まれる抗原タンパク質が肌のバリア機能を低下させることが発見されています。これまでそのタンパク質が目や鼻のアレルギー症状を引き起こすことは知られていましたが、皮膚への作用も認められました。

花粉は、肌が露出しやすい顔や首に付着しやすく、その部位を中心に花粉皮膚炎を生じやすいです。スギ花粉抗原は分子量が大きく皮膚の角層を通過できないため、普通は皮膚内に侵入できないのですが、皮膚の角質に障害がありバリアー機能が衰えていると侵入してしまいます。このため、アトピー性皮膚炎の患者さんでは、このバリア機能が弱いために症状悪化が見られると考えられます。また、女性のクレンジングや洗顔料による皮膚のバリアー機能の障害(主に皮膚の乾燥・肌荒れ)なども誘因となることが多いです。

花粉皮膚炎になりやすい人

花粉皮膚炎は、アトピー性皮膚炎の既往歴がある人の発症率が高いと考えられています。実際に、アトピー性皮膚炎の患者は花粉が原因で皮膚症状が悪化しやすいといわれており、アトピー性皮膚炎患者の約30%程度がスギ花粉により皮膚症状が増悪すると考えられています。子どもの頃アトピー性皮膚炎だったり、もともと湿疹が出やすい体質の人は、花粉によるアレルギー症状が皮膚に現れやすい傾向があるかもしれません。

また、普段は敏感肌でない人も乾燥の厳しい冬を過ごした春先の肌はデリケートな状態になっています。バリア機能が低下しがちなので特に注意が必要です。乾燥した肌は肌表面のキメの乱れや角層がめくれあがって外からの刺激を受けやすくなっているため、花粉皮膚炎にかかりやすい状態といえます。

花粉皮膚炎の診断方法

花粉皮膚炎の診断は、症状と発症時期の関連性を確認することが重要です。花粉皮膚炎を見分けるポイントは、皮膚症状の発症または悪化した時期が、特定の花粉症の時期と合致するか否かです。似ている他の病気として酒さ、アトピー性皮膚炎や脂漏性皮膚炎の可能性があり、花粉の時期であるならば花粉症皮膚炎の可能性が高くなります。

また、診断の助けとしてスギ特異的IgEアレルギーの採血検査を行い、スギなどの花粉がアレルゲンであると判明したならば、花粉症皮膚炎である可能性がさらに高まります。他の花粉も一度に調べられるVIEW39採血検査が人気があります。一方で、脂漏性皮膚炎は顔や頭など皮脂の分泌が活発な部位に生じやすい皮膚症状です。アトピー性皮膚炎なども繰り返し皮むけと赤みのある発疹ができてかゆみなどの症状が現れるため診断が難しいケースもあります。

花粉皮膚炎の治療法

花粉皮膚炎の治療には、外用薬・アレルギー剤の内服薬を併用する場合が多く、また治療と並行して、ぴりぴりとしない適切な保湿剤で皮膚を保護するスキンケアを行うことが大切です。具体的な治療法として以下が挙げられます。

薬物療法

花粉皮膚炎の症状は、顔に出やすいため、ステロイド外用薬が効果的です。頬、口や首周りなどに広がるかゆみも、早く治療すれば4~5日程度でおさまるので、十分な強さの薬を完全に治るまで塗ることが重要です。ただし、皮膚科専門医の指示に従い、適切な強さのステロイド外用薬を使用するようにしましょう。

抗ヒスタミン薬の内服も効果的です。花粉飛散がはじまる2週間前から治療を始めるのが一般的であり、花粉が飛びはじめる時期に先がけて、症状が出る前に抗アレルギー薬の内服を行うことで、症状がコントロールしやすくなります。花粉シーズン中は服用を続けることが大切です。

スキンケア

花粉皮膚炎の治療においては、適切なスキンケアも重要です。肌のバリア機能を維持するために、刺激の少ない保湿剤を使用することが大切です。ただし、石けんを使ってゴシゴシこすると刺激が強すぎて肌荒れにつながるので、やさしく洗い流すのがおすすめです。

普段のスキンケアアイテムも保湿成分の多く配合されているものに切り替えることも有効です。肌に潤いを与える成分としてセラミドなどが含まれている製品が推奨されます。潤いを保ち、バリア機能を補うような成分が配合されているものを選ぶことが大切です。

花粉皮膚炎の予防法

花粉皮膚炎の予防には、スキンケアにより皮膚のバリアー機能を保ち、花粉が皮膚に付着するのを避けるよう心がけることが大切です。具体的な予防法としては以下のようなものがあります。

花粉への曝露(ばくろ)を減らす

最も重要なことは花粉を肌に触れさせないことです。外出から帰宅したら肌に付いた花粉を洗い流したり、外出中もできるだけ花粉が肌に触れないようにメガネやマスクで肌を覆うと効果的です。また、見逃しがちなのが髪の毛です。花粉が付いた髪の毛が顔にかかって肌荒れの原因になるので、まとめ髪にしたり帽子を被ったりするようにしましょう。

具体的には、外出時には頭の花粉付着を防ぐため帽子を着用する、帰宅時に洗顔する、洗濯物を屋外に干さないなどの対策が有効です。外出後は丁寧に顔を洗い、花粉を落とすことが大切ですが、肌を強くこすらないよう注意が必要です。また、花粉症皮膚炎は毎年のように繰り返す厄介な疾患ですが、見方を変えれば症状が現れる時期を推測できるとも言えます。症状が現れる前に抗ヒスタミン薬の服用やマスクの着用を行えば症状を軽くできるので、前もって準備しておくと良いでしょう。

肌のバリア機能を維持する

花粉皮膚炎を予防するために、日常的なスキンケアで肌のバリア機能を維持することが重要です。洗顔時などに顔をこすりすぎず保湿はしっかりすることが大切です。また、アレルゲンバリア技術という花粉など空気中の微粒子や大気汚染物質を肌に直接付着させないテクノロジーも花粉の季節の強い味方になります。アレルゲンバリア技術とは肌の上に均一な膜をはりめぐらせることで花粉などの粒子を肌に直接触れない環境をつくる技術のことです。肌にすき間ができないので、すすなどの小さな粒子から花粉のような大きな粒子までしっかり対応できるのが特長です。

結論

花粉皮膚炎は、花粉が皮膚に直接接触することで引き起こされるアレルギー反応です。主にスギ花粉によるものが多いですが、その他の花粉でも発症することがあります。自分がどの種類の花粉にアレルギーをもっているのかはVIEW39(保険適用)などの採血検査が有用です。症状は露出部分に現れやすく、かゆみや赤み、乾燥などが特徴です。アトピー性皮膚炎の既往がある方や肌のバリア機能が低下している方は特に注意が必要です。VIEW39検査(保険適用)についてのインスタグラムは<こちら>

適切な治療と予防を行うことで、症状を軽減し、快適に春を過ごすことができます。特に早めの対策が効果的ですので、花粉の飛散時期が近づいたら準備を始めましょう。多摩地区はスギ花粉飛散が多い地域です。花粉の影響は早い時期から出始めますから、今年このような症状があった方は来年もご用心です。早めの対策が効果的です。王道の内服外用治療を行っても症状が2週間以上改善されないなら赤ら顔とポツポツが出る「酒さ」など他の病気も考えられるので、皮膚科専門医を受診するようにしてください。

皮膚科専門医による適切な診断と治療を受けることで、花粉皮膚炎の症状を効果的に改善し、快適な日常生活を取り戻すことができます。お肌の不調にお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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  8. https://hc.mt-pharma.co.jp/hifunokoto/solution/1147     

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