小児皮膚科について
お子様に多い皮膚の病気について、わかりやすい説明を心がけながら診療いたします。
近年のトレンドとしてアレルギー体質のお子様が増加傾向にあります。最近の国内の研究では新生児期から保湿剤をしっかり外用すると、アトピー性皮膚炎を発症するリスクが外用しない子供と比較して3割以上も低下することが報告されました。また、乳児期にアトピー性皮膚炎があると食物アレルギーを起こしやすいという関連性が示唆されています。つまり、「生まれた時からしっかりとスキンケアを開始して皮膚バリアを整えておくことが将来的にアレルギー体質になるリスクを減らす」と考えられています。
従って、早いうちから当院を受診されて「保湿を中心とした正しい皮膚のケア」を身に着けてください。そうすることで、大事なお子様の未来を明るいものにするお手伝いができればと切に願っております。
当院には、以下のような疾患で小児皮膚科を受診なさる方が多く見受けられます。
- 小児アトピー性皮膚炎
- 手足口病
- 乳児湿疹
- 乳児脂漏性皮膚炎
- オムツ皮膚炎
- 水イボ
- 手足のイボ
- とびひ など
当院の小児皮膚科で診療する主な疾患
乳児脂漏性皮膚炎
生後2~3ヶ月ぐらいまでの乳児は、ホルモンの影響もあって、皮脂が過剰に分泌される傾向にあります。
この皮脂が過剰に分泌されることによって起こる皮膚トラブルが、脂漏性皮膚炎です。おでこや頭部、耳の周辺、股部、わきの下など、皮脂線の多い場所にできやすく、湿疹はカサカサしたものから、じくじくしたもの、分厚いクリーム色のかさぶたが付着するものまで様々です。
皮膚のターンオーバー(新陳代謝)が正常より速くなり、過剰な角質が蓄積してフケのような状態になるのです。
乳児期によく見られる一過性の変化なので、正しくケアをすれば、それだけで改善することもあります。しかし、湿疹化した場合は治療が必要になってきます。
皮膚の常在菌であるマラセチアに対するアレルギー反応が悪化因子として疑われる場合は抗真菌薬の外用を行い、炎症が強い場合は短期的にステロイド外用薬を併用します。
乳児期の慢性的な湿疹は、アレルギーになる一因であることがわかっているので、アレルギーを予防するためにも早めに小児皮膚科を受診し、正しいケアの指導と適切な治療をお受けになるよう、お勧めいたします。
オムツ皮膚炎
オムツ皮膚炎は、オムツに覆われた皮膚に起こった炎症で、一般的には「オムツかぶれ」と呼ばれています。あせもやアトピー性皮膚炎との違いは、炎症がオムツの当たっているところにだけ生じる点です。
Q:原因は?
A:尿や便に含まれるアンモニアや酵素などによる刺激と、おしりを拭くという摩擦行為などの外的な機械的刺激が合わさって、オムツの当たるところに赤いブツブツやただれが生じます(皮膚のしわの間にできている場合には、カンジダ皮膚炎の可能性もあります)。
Q:治療は?
A:オムツ皮膚炎の治療の際は、洗面器にぬるま湯を入れておしりをよく洗い、亜鉛華軟膏やワセリンを塗ります。症状がひどいような場合には、弱いステロイド軟膏を外用することもあります。